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編集長、溝手順子氏に聞く『オンワードマグへの想い』

オンワードマグ編集長インタビュー溝手順子ONWARD MAG

オンワードグループ公式webメディア『ONWARD MAG』がローンチされる。
数々の女性誌で編集長を歴任した溝手順子氏を編集長に迎え、立ち上げに至った経緯と込められた想いを伺う。

いつのタイミングでも常に意識してきたことは「共感」

編集長、溝手順子氏に聞く『オンワードマグへの想い』
編集者としての溝手さんのキャリアは、自身のライフスタイルの変化に伴いながら、常に女性の生き方に寄り添った媒体で築かれてきたものだ。

「30代後半までは20代に向けたファッション誌に携わり、当時は”美しい”もの、”カワイイ”ものをただただ読者に届けたいという思いが強かったです。私にとっての”カワイイ”はパワーの源でした。
この素晴らしいパワーを伝えて、共有できたらと。いち編集者としても長年ファッション企画を担当していたので、みんなが幸せになる雑誌づくりを常に心がけていました。
読むだけでふと心が持ち上がるような写真だったり、『明日、何を着ようかな?』と考えたときの手助けになったりと、日常からかけ離れるのではなく、一歩先にある憧れをページに落とし込んでいく。”カワイイ”を仕事にできるって、なんて素敵なことなんだろうと没頭した時期でした。

コンテンツ作りにおいて大きな変化が訪れたのは妊娠・出産がきっかけです。
私自身が母となり、職場復帰するタイミングでマタニティ雑誌と育児誌、その公式サイトを運営する部署に編集長として異動。
誌面の情報ひとつが妊婦さんや赤ちゃんにとっての健康を左右することにつながると想像すると、情報が溢れている世の中だからこそ真っ当な情報を見極めることを第一に取り組んでいました。
とはいえ、お母さんたちの味方になる情報を届ける上でも『やらなきゃいけない』と追い詰めてしまうような表現は決してしない。なぜなら私自身も子育ての真っ最中で、お母さんたちの不安は痛いほどにわかっていたので。
自分のライフスタイルと重ね合わせながらファッションから育児まで幅広く女性誌に携われたのは貴重な経験。そのおかげもあり媒体のジャンルや読み手の変化に関係なく、“共感”というキーワードを変わらずに持ち続けられました」

フェアな目線で作られたメディアを目指して

新しく立ち上がる『ONWARD MAG』は、メインターゲットを35歳〜40代の女性としている。
その理由は「さまざまな選択を迫られるタイミングであり、変化も多い年代だから」と溝手さんはいう。

「これからどうするんだろう? 私はどうなるんだろう?と、自分に問いかける時期でもあると思うんです。
それはキャリアにおいても、プライベートの部分においても。私も30代後半から40代にかけて、結婚や出産、そして雑誌畑を離れてweb業界への転職など、まさに転機の連続を迎えました。
でも、変化が多い人がいるのと同時に、このまま変わらない日々を求めている人もいる。
どんな生き方を選んだとしても、肯定し、少しでも寄り添えるメディアを作りたいと思いました。

今回、オンワードさんからオファーをいただいたとき、編集者として新たなことができるとワクワクしたのを覚えています。というのも出版社からwebメディアに転職し、紙には紙の、デジタルにはデジタルの得手不得手を実践で学んだ経験を活かせるチャンスでもありましたから。
とはいえ大きな決め手になったのは、アパレル大手であるオンワードが私のような外部の人間、つまり外部の視点を取り入れてフェアなものづくりを提案してくださったことに尽きます。
自社メディアならば、自分たちの都合のいいかたちで発信もできるはず。
ところがあくまで公平なwebメディアを作りたい――。その誠実さや、再び会社や業界を盛り返そうと変化をいとわない気概に心を動かされました」

オンとオフを自在に行き来し、日常に寄り添う

『ONWARD MAG』に携わるのは、20代から40代、そして様々な部署を経験したスタッフたち。
性別も年代もバラバラで、多様な価値観によってコンテンツを練り上げていく。

「ステイホーム期間、ファッションの必要性をシビアに問われる状況に直面しました。ですが、好きな服を着ること、出かけること、買い物すること…‥どれもが生活に密着しているからこそ、どうでもいいと手放さずにいることが精神的な豊さにつながることを伝えていきたい。
スタートはファッションが主ですが、今後の展望としてはエイジングや暮らし、お金にまつわることなどタッチポイントを増やして、各々に寄り添ったコンテンツを増やしていくつもりです。
webの素晴らしさは、よりパーソナライズされたカタチで届けられることにありますが、その際に多様性に富んだチーム力が後押しになると信じています。

オンワードの服は、縫製や生地も一線を画すクオリティで、たしかなモノづくりが息づいています。
そのためかオフィスで身につけるスーツなど“オン”のイメージが先行し、オフにも着られるカジュアルなアイテムが充実している現状が届いていない印象も。
単純にいいモノに気づいてもらえないのは歯がゆいですし、もったいないという思いもあるので、オンとオフを横断できるようなスタイリングの提案をしていくことで、オンワードの服をもっと身近に感じてもらいたい。『ONWARD MAG』をきっかけに広く認知していただき、現在と1年後のオンワードの服に対するイメージが変化することを目標にしています」

喜びと知識を共有して、賢く生き抜ける人に

最後に、『ONWARD MAG』を楽しみにしてくださる方に向けて。
編集長、溝手順子氏に聞く『オンワードマグへの想い』
「ただ情報を届けるだけの一方的なメディアにはしたくありません。
ささっと検索してしまえばなんとなくの答えはすぐに見つかってしまう世の中だからこそ、自らが考える余白を残しながら、選択肢のある中から選び取る喜びを味わえるメディアでありたいと思っています。いい意味で甘やかさない、といいますか(笑)。
それは作り手側も同じですが、こちらからヒントやヘルプ、アイデアを提案するので、答えは自分で探してほしいなと。その喜びを味わってほしい。
おしゃれをすることは日々の生活を潤すことだと思うんです。
読んでくださる人の中には、“職場までの行き帰りの電車の中だけ”“子供が寝て、家事が終わったあと”が唯一の自分だけの時間という人も多いと思います。
そんな大切な自分時間に『ONWARD MAG』が存在し、何かひとつでもいいから学びがあったり、心が潤ったり、気づきを届けられたら嬉しいです」
編集長、溝手順子氏に聞く『オンワードマグへの想い』(PROFILE 溝手順子 Junko Mizote)

PROFILE
溝手順子 Junko Mizote

1974年生まれ。2001年、主婦の友社に入社。
女性ファッション誌『mina』『Ray』で編集長を歴任し、自身の産休・育休を経て、マタニティ&育児誌及び公式webサイトの編集長に。
その後、IT系スタートアップ企業にてヘアケア系webメディアの編集長に就任する。独立後は雑誌とwebの両軸でカタログ、広告を中心に編集やディレクションに携わる。
プライベートでは1児の母。
  • Photo:Takahiro Setsu
  • Hair&Make-up:Izumi Yamaguchi
  • interview&text:Hazuki Nagamine